厄年の風習はどこから来たのか
厄年とは、人生において特に災難が起こりやすいとされる年齢のことを指します。この風習は、日本独特のものですが、その起源をたどると古代中国の陰陽五行説に行き着きます。
陰陽五行説は、宇宙や自然界、そして人間の運命までをも説明するための思想体系で、万物は陰陽という二つの相反する力と、木・火・土・金・水の五つの元素で成り立っていると考えられていました。
日本において厄年が特に意識されるようになったのは、平安時代になってからだといわれています。その頃、陰陽師による陰陽道が盛んになり、人の運命を占ったり、災いを避けるための儀式が重要視されるようになりました。厄年は、人の一生の中で特に陰の力が強くなるとされる年齢で、この時期にはさまざまな災難に見舞われやすいとされてきました。そのため、厄年には厄除けや祈祷といった儀式を行い、災難を避けるための対策が講じられているのです
具体的には、男性では25歳、42歳、61歳、女性では19歳、33歳、37歳が特に重要な厄年とされています。これらの年齢は、昔の日本人にとって一つの節目となる時期であり、厄年の考え方は、そうした人生の転換期に起こりがちな不安や困難に対処するための一つの方法として発展してきたとも考えられます。
現代においても、多くの人が厄年を意識し、神社で厄除けの祈願を行ったり、厄除けのお守りを身につけたりする風習が引き継がれています。科学が発達した今でも、このような伝統的な風習が大切にされるのは、人々が日常生活の中で不安や困難に対処しようとする、普遍的な願いが込められているからかもしれません。